巻観光協会-会員ファイル⑧松野尾みらい会<後編>

3人の始まりの場所

松野尾みらい会メンバーの3人

<…前編から続く>

今回は場所を移し、松野尾・上堰潟公園のすぐ傍、北国街道を海側に一本入ったところに一軒の工務店が。
そこがメンバーのひとり 片平雄(かたひらたけし)さんの拠点である「片平建築」

ちょうど待ち合わせの時間にカフェ「ペントイト」の高橋さんも来てくださって、3人揃ってインタビューを受けてくれることに。

片平さん「はじめまして、片平雄です。いえいえ、こちらこそどうぞ宜しくお願いします」

片平さん「はい、ここでイベントの打合せをしたり、大道具小道具など、必要なものをみんなで工作したり準備していましたね」

片平さんはもともと山形の出身で、大学進学で新潟に。
奥様は西蒲区和納出身。

片平さん「学生時代に工学部で建築を勉強していました。そこで妻と知り合い、仕事で各県を転々としながら数年前に新潟に戻ってきて今に至ります。」


神奈川県、静岡で一般企業に勤めたのち、新潟に戻ってきて、再び数年間の会社勤務の後、奥様のふるさと西蒲で工務店を起業。その後1~2年ほど経過した時に小学校のイベントで五傳木さんと出会った。

片平さん「近年社会問題にもなっている空き家対策、その増えてきた空き家をリノベーションしたり、大工として地域の老朽化した建物を把握しておくことが必要と感じています」

片平さんは、情報交換も兼ねて地域交流にもよく参加しているのだそう。

片平さん「地域の大工さんとして、家づくり、ひいては「村」づくりをしていきたいんです」

片平さんは、メンバー高橋さんの営むカフェ「ペントイト」が移転してくる前に、地域の集会所だったその建物をリフォーム工事する機会があり、それをきっかけに高橋スグルさんとも出会う。
建物内に設置されていた黒板に描かれていた高橋さんのイラストに感銘を受け、それも五傳木さんに紹介するきっかけとなった。

高橋さん「僕が妻と松野尾に引っ越してきたときに、住居になる部分の一部をリフォームしてくれたのが片平さんで。黒板の絵をきっかけに、実は前にイベントで会っていたことがわかって驚きましたよね」

リーダーの五傳木さんとは、小学生のお子さんを持つ親として、子どもたちのために活動する意識、関心が子供に向いているという点、また地域外から移住してきた者同士として、共感するところが多々あったということで、知り合ってからあっという間に意気投合したそう。

片平さん「木組みのテント、実は僕が全て手作りで製作しました。公園の雰囲気に合うようにとこだわったんです」

上堰潟イベント出展者のテントの多くは片平さんの自作

片平さん「後で問い合わせがあって驚きました。「この場所いいね」「この雰囲気好きだな」と思ってもらえるようにこだわったんです。」

高橋さん「せっかくの良い景観でやるイベント、会場のビジュアルはこだわりたいと僕も思いました。」

片平さん「そんな感覚を共有できる人たちが繋がって、どんどん集まってきてくれたらいいなと。その結果、大工としても地域の住民としても、居心地良い「村」が出来たなら嬉しいなと思っています。」

メンバー同士、互いにリスペクトを持って

片平さん 「(五傳木)ヨウスケさんはコミュ力がとても高くて、感性も豊かで、異業種ながら共感できるところが多い人です」

高橋さん 「ヨウスケさんは「こういうの良いよね」と色んな良いところを見つけて肯定してくれる。信頼できる人。まわりを引き付ける人です」

五傳木さん 「みんな、ケンカなんかせずきちんと話し合ってコトを進めることが出来る人たち。タケシ君は人と人とを繋ぐ人。スグル君はアーティスト。二人とも自分が持っていない能力を持っていて、自分より若いけど年齢差とかを全く感じさせない仲間で、本当に頼りになる存在なんです」

片平さん 「ヨウスケさん→自分→スグル君の順でちょうど4~5歳ずつ離れていて、実は丁度良いのかな?」

五傳木さん 「そんな気の置けない仲間たちと一緒に楽しいことをやって、そして、すごい景色を一緒に見たいなと常々と思っているんですよ。」

片平さん 「…って、こんなふうに改めて褒め合ったりとか普段全くしないので恥ずかしいですね」

五傳木さん 「野郎同士でイチャイチャしてるみたいで恥ずい(笑)」

高橋さん 「インタビューじゃなかったら絶対口に出すことないですね!(笑)」

高橋さん 「色んな意見、温度差のある人々がいるなかで、ブレずにやっていけるか?ですかね…」

片平さん 「互いに共感できることが見つかればどんどんやっていきたいし、自分の考えの根本は変わらないので、心の自由さは保っていきたいと思っていますよ。」


片平さん 「そして、悩みとかとは違うんですけど…地域に関わって思うことがあるんですけど、松野尾の人たちは、地元に凄く愛着を持っている人が多いと思います。

この地の人たちは過去に大きな水害などもあって、苦労して土地を守ってきた、そんな思いを強く受け継いでいるのではないかと思います。

なので、自分たちのような「よそ者」が地域を好き勝手にいじるのは好ましくないという人が多くいるのではないかと心配に思うことはありました。
ただ、地域を大切に想う。そういうところはすごく好きで、そんな地域の人々に対してとてもリスペクトを感じています。」

五傳木さん 「3人でスタートして、はじめは自分たちは得体のしれない《よそ者》と警戒されていたと思うし、当初はこのイベント開催に対してのあまり前向きでない意見も実際いただきました。が、いざ具体的に実行に移す段階では多くの人たちの共感を得られ、最初は反対されていた方も快く協力してくれるようになって本当に嬉しかった。やってよかったなと思いました。」


五傳木さん 「そういうことで…、何があっても、仲間同士が互いに信頼しあっていればきっと大丈夫!」

五傳木さんらは会として地元観光協会にも加入し、様々なイベントにも積極的に参加している。地域のこどもたち、そして父兄も巻き込んでメディアでも話題となった「にしかんじゃんけん大会」にも実行委員合の中心メンバーとして参加した。五傳木さんらメンバーの柔らかい雰囲気の人柄もそうだが、そうした利他的な行動の積み重ねが、いざというときの協力者を増やしていくきっかけになるのかもしれない。

地域のイベントに積極的に協力する五傳木さんら

五傳木さん「昨年の秋のハロウィン祭りもお陰様で評判が良かったですし、春・秋のイベントを通して、より地域のみなさんとの交流を深めていけたらなと。いずれ、上堰潟公園の指定管理を受けられるような、地域に貢献できる組織づくりをしていけたらと思っています」

『イベントや地域の盛り上げ役』、『経済を回せる』、『雇用の促進』、『移住者を増やす』ことを目的に掲げていくという。

五傳木さん「会を今後も継続していくため、年間通しての支援者も募ることにしました。皆さんの協力のもと、子どもたちや親子の思い出に残る良いイベントを今後も企画していきたいと思っています」

「そのために大事なのはまず自分たちが動いて、やり切ることと思ってます。協賛企業さん、行政さんなどにはその活動を見せれたうえで支援をしていただけたらありがたいなと」

五傳木さん「そして、地域に住まう大人として、やっぱり子どもたちに格好良く見られたいですよね」

片平さん「そうですね。子どものみならず、いろんな年代の人たちにも」

高橋さん「そう思ってもらえるように、何をどう行動し表現したらよいか?をこれからも考えていきたいですよね」


片平さん「以前、オランダ、デンマークの人に上堰潟を「懐かしい風景」といわれたことがありました。そんなこともあって、いずれ海外にも上堰潟の木々を植樹したりとか、世界にも交流の目を向けていきたいと思うようになりましたね。」

五傳木さん「上堰潟にも新たに植樹をして、また10年後、20年後も、もっともっと素敵な場所にしていけたら。」

「…で、歳を取ってから、いずれ『上堰潟の花咲じいさん』と呼ばれたいです(笑)」


夕方6時に集まっていただいたこのインタビュー。あっという間に時が過ぎ、いつの間にか時計は21時を回っていました。(またまた、すみません)

最後に、皆さんの≪はじまりの場所≫でのスリーショットをいただいて今回の取材は締めさせていただくことに。

皆さん、2回にわたり長時間のご対応、どうもありがとうございました。

(インタビュー、撮影、文/巻観光協会 小林)

【上堰潟桜まつり2025】

開催日程/令和7年 4月11日(金)~13日(日)の3日間

ライトアップ時間/4月11日(金)、12日(土)…18時30分~22時 (※13日(日)は21時まで)

※詳しくは…松野尾みらい会公式WEBサイト(外部リンク)
https://matsunoo-miraikai.com